ニュース 第 7 号 (2001・4)
40年の断絶を超える力 VIP神戸・副会長 玄
承禎
さる3月9日、父と私は、韓国から駆けつけた弟と家族会議を開きました。87才の父がキリスト教を信じると宣言したからです。 父は漢文書堂で千字文、論語を修得し、祖先崇拝を重んじる孔子の教えに従順でした。しかし、長男の私がクリスチャンとなった為、父は私に親不孝のレッテルを貼り、跡継ぎは韓国に住む弟と決めていました。ところが、その父が突然キリスト教をと言い出した為、弟が驚愕し飛んで来たと言う次第です。3月10日、父は弟の前で「時代の変化を見る時、キリスト教が良いと思う。私はキリスト教を信じるが、子供が一緒に信じることはない」と表明しました。この時、弟は、父の心は揺れている。きっと変わると思ったようです。しかし3月13日、二回目の会議でも父の気持ちは変わりませんでした。弟は諦めざるを得ませんでした。
思えば、父のために私が祈り始めたのは1999年10月のことでした。VIP大阪の朝の祈り会に参加した時からです。司会者から「祈りの課題」を尋ねられ、戸惑いながら「父の救いです」と言ったことを覚えています。 それ以降、この祈り会では毎回この課題がプリントされ、参加者がご一緒に祈って下さいました。それまでは私自身、可能性はないと思っていたのですが、皆様の祈りから勇気を頂きました。そして、妻との祈りも始まりました。ベッド生活をする父の家を尋ね、祈るようにもなりました。最初は小さい声で、父には聞こえない祈りでした。しかし、いつか、祈りに変化が起きました。父と手を取り合って、父にも聞こえる声で祈るようになっていました。父と語り合う時間も長くなりました。父の人生について聞く時も与えられました。忍耐を要する時もありましたが、私のアイデンテイテイを確立する貴重な時ともなりました。父への敬愛と十字架の愛が芽生えた素晴らしい時でした。 銭湯や床屋について行く時の父の顔には喜びが溢れ、口からは歌声すらが聞こえるようになりました。もちろん初めて聞く歌です。そして、一年半の祈りに神様が応えて下さいました。まさに神様は生きておられ、人の心を見事に変えられたのです。 二人合わせて150才以上にもなる、共に白髪の親子ですが、キリストの愛に満たされる時、年齢を超えた人間同士の愛が育まれました。
今までは話せなかった死後のことも語ることが出来るようになりました。神様と祖先のことについて話を交わし、復活し、再会できる恵みについて語ることが出来ました。素晴らしい親子関係の復活です。 まさしく「以前は遠く離れていたあなた方も、今はキリスト・イエスの中にあることにより、キリストの血によって近い者とされたのです。キリストこそ私たちの平和であり、二つのものを一つにし、隔ての壁を打ち壊し、ご自分の肉において、敵意を廃棄された方です。敵意とは、さまざまの規定から成り立っている戒めの律法なのです。このことは、二つのものをご自身において新しい一人の人を造り上げて、平和を実現するためです。」(新訳聖書・エペソ・2−13から)
3月15日の朝、弟と別れる日が来ました。目の障害による不自由な生活と、残された人生に迷いのあった父には、心の整理が出来た安堵感がみなぎっていました。父には、帰国する次男と別 れる寂しさはあったでしょうが、今までのわだかまりから開放された喜びのほうが勝っているようでした。父は、私と私の妻の手をとり、「これからは、この家に平和が訪れるな、別 れの祈りをしてくれ」と言い、4人一緒に、祈りを捧げる時が与えられました。そして、祈る私の声は、この素晴らしい我が家の歴史を創られた神様に感謝し、いつか次第に大きなものとなって行きました。今の私は、人智を遥かに超えたところで、こじれてしまった断絶を一挙に解決して下さり、万事をご用意して下さる神様の業を、一人でも多くの方にお伝えしたい気持ちで一杯です。すべてのことに感謝します。ハレルヤ!